警備員の操作による、無線制御式工事用信号機の現場導入について
有限会社 土浦警備保障
(株式会社 銀河警備保障より資料提供)
1 本システムの開発理念と時代背景
片側1車線の道路で車線を閉塞し工事を行う場合、片側交互通行を行う事が一般的である。この場合の交通制御の方法は交通誘導員によるもの、工事用信号機によるもの、又は両者の併用によるものが主に用いられるが、交通誘導員の受傷事故(交通災害)、安全性の問題、定周期式工事用信号機では現在の交通需要の変動には対応できないと言う問題がある。このことから、従来の定周期式工事用信号機、車両の滞留を軽減する目的の工事用感応式信号機(感応式の為、停止率が高く、問題解消には至らない)ではなく、交通誘導検定資格者、又はそれに準ずる者と無線電波制御による(警備員が手動による遠隔操作)工事用信号機を組み合わせた従来にはない交通誘導制御システムの開発に至った。
@システムを使用した場合、従来の工事用信号機よりも車両等の流動性が確保される。
A環境汚染防止に繋がる。(環境問題への対策)
B施工現場付近の地域住民への騒音、排ガス等の迷惑を軽減できる。(地域社会に貢献)
C公共事業施工業者は、経費節減(現場コスト削減)が図れる。(企業の保護)
例を挙げれば、従来の工事用信号機を使用した場合、1日10,000台の車両が1分間余分に待ったとしたら合計10,000分となる。又、1ヶ月工事が継続したら300,000分間(5,000時間)となる。半年間継続する現場になれば30,000時間にも上る計算になる。マクロな見地で見た場合、莫大な時間ロスであり、経済効果にも悪影響を及ぼすものと考えられる。
また、無用なアイドリングによる燃料消費は国民や企業の負担であり、更に排気ガス等に含まれるCo2に至っては、環境面においても多大な悪影響を与える結果に繋がると考える。
2 現場におけるデータ収集、調査
市場投入する事前調査の段階では、本システム(GSシステム以下同)の効果を把握する為、日立国際電気(日立グループ)及び吾妻商会に対し、当社で企画提案を持ち込み実用に至るまで機体データ採取共々、試作機を4回ロールアウトした。その結果を反映させ、今回の採用機の最終段階の煮詰めを行い、実戦投入とした.主な調査項目は下記に示す。
・ 本システム自体の適応交通量、対応可能範囲
・ 信号表示部の視認度(特に輝度、西陽対策、表示面積)
・ 信号表示切替ボックスダイヤル耐久性(コントローラー)
・ 信号無視、掏り抜け台数(既存の定周期式との比較)
・ サイクル毎の捌け台数、停止車両数
・ 無線遠隔操作を行う際の送受信部の信頼性の確立。(妨害電波等への対処)
・ 無線遠隔操作の可能範囲(距離、角度、障害物)
・ 耐震性、対風性、防水性の確保
3 解析項目及び結果
試作機の技術的改善点を基に、市場投入機に反映させた件は下記に示す。
@ 表示部の課題
A 送受信部の課題(正常時、設定不良、動作不良)
B 操作部の使用強度
C 信号機相互間の反応時間(リニアリティーの充実度)
当社と日立国際電気及び、吾妻商会との相互間の機体データに関する解析結果は、別添仕様書、レート表、データグラフ、イニシャライズ・チャート表、特許申請書を参照。
4 『GSシステム』のメリット
1. 通行車両台数、接近車両の管理、待機車両の管理、規制通過時間を警備員自身の確認行為により無駄な待ち時間が解消でき、スムーズな通行を実現。
2. 渋滞の緩和からイライラ運転の解消・国民の時間ロス・消費燃料の減少に貢献。
3. 無駄な停止時間が無く、騒音や排気ガス(Co2等)も減少され環境面にも貢献できる。
4. 無線とバッテリーを併用するので、面倒な配線工事が不要である。
5. 交通誘導員の誘導が曖昧だったと言うような苦情を回避でき、表示部は既存のものより
大きな口径を使用し、表示を明確に実現させた。
6. 従来の定周期工事用信号(タイマー式)又は、センサーが感知しない限り反応しない感応式工事用信号機とは大きく違い、状況に応じた柔軟な誘導が可能であり、万が一の場合は操作員(警備員)がバックアップし、事故などの未然防止が確実になる。
交通誘導員(警備員)の良さと無線制御式信号機の良さを組み合わせたものが、このGSシステムの最大の特徴である。
設置現場写真
親機、子機それぞれが警備員から見える範囲で設置可能。カーブが連続していなければ対応可能である。
通行車両は規制中央付近に配置する警備員が接近する車両を確認し、工事区間への進入が可能か否かを判断し信号表示を切り替える。
操作する警備員は信号機本体背面に取り付けられた表示窓を確認し、制御を行う。
交通災害防止、警備員自身の受傷事故防止の為、保安資器材を充実し停止位置を明示させる。
株式会社 銀河警備保障より写真提供
断続的な交通量で見通しの良い道路環境、カーブが連続しない場所での使用に限定されるが、従来の物であれば信号無視した車両に関しての対応は対向車と鉢合わせすればどちらかの車両は離合場所までバックしなければならないが、当システムの場合は操作する警備員が信号無視を確認した時点で停止を促がし、事故や無用な滞留、迷惑行為を防ぐ事が可能である。
通常、2〜3名の警備員配置現場についてGSシステムを使用した場合は1〜2名での対応が可能となる。
設置現場写真
操作員は交通制御をリモコンにて行いながら、作業現場内の誘導業務も行う。
通常待機は両赤表示とし、接近する側の信号表示を青に切り替える。 自動切替も可能であり、休憩時は定周期工事用信号機として使用可能。
道路幅、交通量、道路環境により操作する警備員の立哨場所をその都度任意で設定できる。
株式会社 銀河警備保障より写真提供
現在、郡部や山間部の施工現場には既存の工事用信号機が使われており、日中は交通誘導員で対応している。従来の信号機であれば交通量の規模にかかわらず2〜4分間待つ事が多く、誘導員の場合、純粋に2名が毎日働いた場合は月/460,000円以上の経費がかかる。以上の事から、
GSシステムは、環境対及び運転手、関係各所のメリットに繋がる。
『GSシステム』の特徴
@ システムの設営・初期設定が簡単
A 有資格者、システム専従者との組み合わせで、充実した現場管理の提供が可能。また、重視される検定等資格保有者を工事作業現場に固定配置できる。
B 時間帯により変化する通行量を問わず、無線制御信号機と交通誘導警備員との良い部分を組み合わせ、最大の業務メリットを提供できる。全くの機械(信号機のみ)任せでは不安が大きく、道路使用許可証上も問題がある。
C 操作する警備員の判断で、車の流れに合わせて信号表示を自在に切替えられるので、従来の警備員での誘導要領と変わらぬ交通整理を実現し、断続的な流れにも問題なく対応。
D 信号無視車両への対応も機械任せの信号機よりも万全。区間内に位置する警備員が機械とは違う柔軟な対応、的確な措置を行える。
E 無線制御方式、電源確保はバッテリータイプの為、固定現場に限らず移動現場にも対応可能。
F 万一の時(システム異常)でも最終バックアップとして同時赤点滅を表示する様に設定されていると共に、操作する警備員が誘導業務を引き続き行える。
G 信号表示部は、従来の直径240mmから300mmに拡大し、十分な視認性を確保。表示ランプも超高輝度LEDを使用し長寿命、明るさを実現。
H 自動運転切替えも可能。休憩時、突発事案への対応も問題なし。
I 交通誘導員2名での業務では、工事作業現場への対応は間接的な安全管理となるが、当システムに於いては1名で全ての安全管理の把握が可能であり、工事作業場付近に密着した安全確保の為の誘導業務を実現。
J 警備員の受傷事故防止と共に、接近車両に対してより明確な停止、進行の合図を可能とした。
K 無線制御の為、操作する警備員は現場内を自由に動くことが可能であり、危険予知に対する即応体制が即座に可能。
L 各都道府県警、所轄警察署の見解として日中の工事用信号機の単独使用は原則的に認められていないが、当GSシステムの場合は、当然主として警備員を配置し、その判断に基づいた信号機操作による交通誘導であり道路使用許可証にその旨を明記し、警備員との組み合わせで現場運用が可能と考える。